創業250年の歴史にみる平木屋さんの易・不易

宝暦年間(西暦1751年~1763年)

創業された歴史を持つ

【 染元  平木屋 】さんへ
 金沢市片町 https://www.hirakiya.info/about/

 50プラス起業ネットワークコミュニティの仲間と見学に行ってきました。

平木屋さんにみる易・不易(変えるべきものと・変えざるべきもの)

平木屋さんは、江戸時代、加賀藩の御用達として染めものをされてこられ、裃(かみしも)や武士の需要のあるものを主に作っていましたが、明治になり、武士が消滅し、別のものを作るようになりました。

金沢から七尾の地域では、結婚式のときに利用される花嫁のれんも作っていましたが、こちらも時代の変化で需要がなくなっていきました。


染物の需要が減ってきて染物屋が廃業していくなか、ロット生産で大量に安く染物を提供する大手の苦手とする少ない枚数の物や特別な仕様の品物を丁寧に手仕事で制作してこられました。その仕事が評価され、今では全国から注文が来ています。


全国から注文が来るようになった背景には、SんSの利用や依頼されたデザインをITを生かして再現するなど、新しい技術の活用もあります。

平木屋さんの「本染め」とは

 

暖簾や幕などの生地の糸そのものを染料で染める【本染め】という手法で染められています。プリントのように染料を生地の上に置くものとは異なり、両面を綺麗に染め上げます。

 

制作中ののぼりを見せてもらって、驚いたのは、加賀友禅ののり置きは片面だけれども、この本染めののり置きは裏面にもされていることでした。のぼりや旗は、両側がきちんと染まっていなければならないからです。


大きなのぼり、旗も作れるように細長い作りになっていて、奥の方の作業所を抜けると通りを挟んで犀川です。今でも、犀川、そして大野庄用水で染物ののりを落とす作業をしているとのことです。

スキルを生かした分業体制

 

生産体制は、3人での分業です。良尚さんがデザイン、下図を作成し、叔父の豊男さんがのり置き、総合アドバイザー、父の有ニさんが染めの工程をされています。
暖房機やアイロンで生地を乾かすのではなく扇風機で時間を掛けて乾燥させるように、機械ではできない一つひとつ手作業による制作をされています。

 

 

現在、1番売れている商品は、のぼりです。
お祭りのときに使うものが多く、8メートルもの大きさのものもあります。

色とりどりの捌け

これによりいろいろな巾の生地に染色ができます。


次の代を担う若手のITスキル


お話を聞かせてくれた良尚さんは、まだ30代です。大手IT企業、コンサルを経て染物屋を継いでいます。戻って最初にしたことは、元IT勤務らしくホームページを整備することでした。Googleで、「のぼり 本染」と検索すると2番目に表示されました。ほかにもB 0(広さはB4の4✕4=16倍)も印刷できる大判プリンター、イラストレーターと新しい技術も駆使しています。

今後の計画

 

建物を改装をして、小物なども販売するギャラリースペースを作る予定です。麻の端切れを利用して作った小袋、加賀獅子を染めた残りの染料で染めた蚊帳と同じ色のバックも見せてもらいました。いい色でかわいいというだけでなく、SDGsと言う観点からも良さそうです。

 

また、平木屋さんのではお茶も昔からされていていろいろな茶道具もあり、紫遠州流のカジュアルな茶道を復活させ、気軽にお茶を飲めるようにしたいとも話しておられました。

 

早ければ来年の4月には改装が終わって、リニューアルオープンです。古いものを活かした新しいお店へ行くのが楽しみです。

この文章の一部には、
同行をした50プラス起業ネットワークコミュニティのメンバーであるKanazawa, es un encanto   の宮下 万貴子さんのレポートを一部加工して使用しています。